京都 上七軒「北野をどり」を見に行こう
京都の桜が散り始めると今度は「をどり」の季節だね。街に舞妓さんの華やかなポスターが目についてきます。毎年、京都五花街と呼ばれる『祇園甲部』『宮川町』『上七軒』『先斗町』『祇園東』でそれぞれの公演が「〜をどり」として行われておりましてそれぞれ名前も流派も違うのだ。京都に来る前は全部ごっちゃになってたけど、ようやく仕組みがわかったわ。だいたい開催順で行くとこんなかんじ↓
上七軒 「北野をどり」(花柳流)
宮川町 「京おどり」(若柳流)
祇園甲部 「都をどり」(井上流)
先斗町 「鴨川をどり」(尾上流)
祇園東 「祇園をどり」(藤間流)※秋開催
全く所作ふるまいに影響は残されていませんが、ワタクシ子供の頃に日本舞踊を習ってたせいもあってか「をどり」はどうしても気になっちゃう。あと、普段なかなか行けない歌舞練場に入れるのも、舞妓さんが大勢見られるのもいいよね。早々と3月から開催された「北野をどり」を見に行ってきました。
上七軒さんぽ
上七軒は京都中心部マップの左上、北野天満宮の東側の辺りだよ。こじんまりとしていて何となく町並みが金沢の茶屋町っぽい雰囲気だなあ。祗園ほど混み合ってることもなく、静かで落ち着きます。開演前にお店に二軒立ち寄りました。
北野をどりの2018年ポスター
軒先には提灯がいっぱい
喫茶「梅」でひと休み
ここ一度行ってみたかったの。梅、は天満宮の梅ですね。おばあちゃまがお一人で営まれているのですが、いわゆるぐだぐだのおかんカフェではなく内装も改装されてキレイでした。お茶をしながら色々な面白い話を聞いたよ。
天満宮のすぐ脇です
格子ごしに外を眺めつつ
ご自身も以前はお茶屋さんをされていたそうですが、この喫茶店はもう50年経つそう。15年前に改装したばかり。店内にたくさん舞妓さんのうちわが飾ってあったのだけど、その一番上にある「福鶴」さん、現役芸妓さんで「わたしの1個上」御年77歳だとか。(福鶴さん、wikipediaあるよスゴイな)沢山拍手してあげてや、って言われました。今年で第66回の北野をどり、この第1回におかあさんと福鶴さんご一緒に子役で出てるんだって!重鎮すぎるw
上七軒のみなさま
ちょうど店内で舞妓さんの絵を描く若き画家ナカガワ暢さんの個展をやっていて、そのしおりをいただいたり、いち早くをどりを見てきたおかあさんにパンフレットを見せていただいたり、同じく観光にきた北海道のご夫婦と話をしたり、お互い膝が悪いので手術や病院の話をしたり(笑)なにより、お話好きのおかあさんの花街言葉ど真ん中のアクセントがまるで流れる音楽のようで、そんなつもりもなく入ったのに思いがけず楽しい時間でした。
なにげにこれがいい予習になった
おかあさん、おおきに。また寄らせてもらいますね。玄関の外まで見送っていただいて今度は実家用のお土産を買いに斜向いのお店まで。
老舗和菓子店「老松」でお買い物
せっかくだからなんかお土産買っていこう。大丸や嵐山にもお店あるけどこちらが本店です、超老舗「老松」。名物はやっぱり雑誌でもよく見る夏柑糖や蓮根餅だと思うけどもうちょっと日持ち希望だったので、銘菓「老松」と缶入りのわらび餅を買いました。
清々しい外観
目移りしちゃうよ
4月からもう夏柑糖始まってるんだけど、ドでかいみかんゼリーに1500円はたくのはなかなか勇気がいるのでもうちょっと別の機会を見計らいたい。それより数々のお菓子の横に置いてあった「和菓子トランプ」に釘付けでした。なにあれ。何きっかけで商品化されたんでしょうか。
謎のトランプ
木型だいすき
ちなみに買ったお菓子は先日実家に持ち帰って、当然ひと口貰いましたが(糖質制限中のため)、老松はちょっとわたしにはガワが固かったかな、でも柚子餡は風味がよかった。わらび餅は缶入りとはいえブリブリで黒蜜も美味しくてとても美味しかったです。あれはお土産にアリかも。
雰囲気抜群の上七軒歌舞練場
さて、ウロウロしたおした所でお昼の回が始まるのでいよいよ歌舞練場へ。みんなお着物着てたり、楽屋見舞いの大きなお菓子袋を持った人がいたり、もちろん外国人旅客もたくさんいて、とっても賑やか。
歌舞練場裏手にて
五つ団子の紋がミナ・ペルホネン
北野をどりのチケット購入と当日券
「をどり」のチケット購入は、やっぱりお馴染みさんに渡すのがメインだったりするからかな、とも思うんですがどこも非常にアナログで!びっくり!チケぴイープラローチケに家が立つほどの手数料を払ってきたわたしから見ると逆にとても新鮮&混乱!
「北野をどり」のチケットは潔く二種類。お茶席アリ4800円orナシ4300円。『お茶席』はどこも同じですが、上演前に舞妓さんと芸妓さんのお点前でお抹茶と季節のお菓子をいただけて、菓子皿を持ち帰れるっていうシステムのこと。
チケット購入は主にFAXかインターネットですが、なんとFAXは3月早々に締め切り、インターネットも見たい日付の4日前で締め切り。そしてなんと、全席指定だけど指定できず座席をおまかせするシステム。この21世紀に座席指定できない指定席が存在するなんて・・・!どちらもチケット購入後に送られてくるハガキやPDF添付を当日会場で交換するらしい。人件費すごい。
入口左手にチケットブースがあった
そんなわけで急に行きたいときには会場で直接買うしかない、ということで当日歌舞練場に電話して当日券の有無を確認し、1時間ほど前に会場のチケットブースで「この席にします」と指定して買いました。チケットブースでは座席表に鉛筆でチェックして販売管理してんのね。逆にすごい。すごいよ。ちなみに平日は余裕があってもやっぱり土日は満員御礼だったので、桜の季節だし遠方からの場合のお求めはお早めにですね。
広いお庭と素敵な廊下
さて、歌舞練場。中に入るとすぐに鯉の泳ぐお池と太鼓橋。廊下にはたくさん赤い提灯がぶら下がっていて、夏はビアガーデンになる例のお庭やお座敷には和菓子店やお漬物屋の出店がいっぱい。お手洗い(超キレイ)のドアが開くと中には他の花街から見にきた舞妓ちゃんが紅直し中でハッとしちゃうね。
とってもジャパン
とっても京都
広いお庭ですねえ
あっ老松も出てる!上七軒の紋「五つ団子」になぞらえて五個の団子が串に刺さった名物七軒団子。なんか五と七と混同してよくわからないですけども。さっきの和菓子トランプ売ってる・・・そんなに推す商品なのか・・・。
みたらし団子の誘惑
誰か買ってみせてほしい
舞台はシックでこじんまり
会場の中へ。あっ、意外と小さいんだな。舞台ってつい大きいのを想像するけどとてもこじんまりとした、でももの凄く木造建築の素敵な空間。金毘羅歌舞伎を思い出した。舞台向かって右手が升席で左手が花道。天井にも五つ団子で素敵ね〜!さすが喫茶梅のおかあさんも自慢の歌舞練場なだけある。和ですね、和。とても雰囲気があります。
どこからもよく見えますわ(そしてよく見ると緞帳にも五つ団子!)
天井にもお団子
花道にもミナ・ペルホネン
わたしはかなり後方のど真ん中で拝見したのですけど、このサイズ感だと歌舞伎座の三階席なんかに比べたらもうどこでも見やすいですね。二階の桟敷席にはほとんど人がいなかったので、入れてなかったのかな?一階はド平日でもご年配のお姉さまたちで満席でした。
芝居あり踊りありのバラエティー
各花街いろいろな特長があるらしいんですが、上七軒は毎年こうなのかな、最初の演目「北野の杜の物語」は台詞アリのオペレッタ的な舞踏劇というやつでうさぎやリスの耳としっぽを付けた(もちろん着物で)舞妓さんや壮麗な太夫のでるファンタジーなお芝居。やっぱ歌舞伎の耳になってるのか、全員女性の和演目って始めてだったので台詞の声の細さと高さが印象的で「めっちゃキーたかっ!」て思いました。
2018年の演目
そのあとは15分の休憩を挟んで、第二幕が次々に踊りが披露される「色暦俗曲集」、そしてフィナーレは黒裾引摺姿の芸妓さんと艶やかな舞妓ちゃんが全員登場して踊る迫力の「上七軒夜曲」。全部合わせても1時間程度しかないので非常にコンパクトなショー。くだんの重鎮、福鶴さんはとてもお歳を感じないシャンとした佇まいで素晴らしかった。いっぱい拍手したよ。それから舞台美術がシンプルだけど和柄や季節の絵をあしらったものが舞の背景になっていてモダンだったわあ。
終演後は梅の緞帳になった
始めての「をどり」だったので、はあなるほどこういうものなのかと歌舞練場やチケットシステムや演目などなど大変面白く拝見しました。コンパクトだけどとても構成もまとまっているし、舞台美術も美しいし、舞妓ちゃんの初々しさや芸妓さんのしなやかさの踊りの違いもよくわかるし、歌詞には平野神社の桜とか、太閤秀吉とか、天満宮の天神さんとか、梅の花とか、ご当地ワードもたくさんあって素敵だったし、途中台詞に時事ネタのシャンシャンとか入れて笑いもとり(笑)大衆的でアットホームな雰囲気が「北野をどり」だった。とても感動して一瞬涙出そうになったよ。ああ、素晴らしい。
帰りには豆腐屋で天神とうふを買った
なんだか毎年毎年「をどり」を楽しみにしている人の気持ちがわかった。毎年違う演目ありつつ、あの子やこの子の成長も楽しみにしつつ、最後は各花街のお約束演目があって、さらっと1時間で終わるとまた来年も見たくなるっていうね。いやあ、見に来てよかったとしみじみ思いつつ豆腐をぶら下げて帰った「北野をどり」でした。
つづく!
リンク上七軒歌舞会ホームページ
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