「そうだ、台湾いこう」ができるまで(まさかのイラスト編)
ただいま発売中の旅本「そうだ、台湾いこう」、たくさんの方にご覧いただいております、ありがとうございます。AmazonレビューやSNSでシェアやコメントくださる方もありがとうございます。
本に挟まれているハガキは漏れなく中島さん経由で全部見ておりますので良かったら送ってください。あれを読むと『バクマン。』の漫画家みたいな気持ちになります。(わかる人だけわかって)
さて、遅ればせながら今回もちょっぴりやろう、出版裏話。「そうだ、台湾いこう」ができるまでのお話です。
今回は旅の最中にブログで恒例の「旅メモ」も同時並行でダイジェスト更新していたので、裏側を書くとなると帰国後作業がメイン。本のあとがきにも書きましたが、毎日送られてくる膨大な量のテキストを読んで、写真をピックアップしていく編集中島さんの地獄作業のおかげです。あれはわたしには無理。たとえ生まれ変わっても無理やで。
まさかのイラストデビュー
さて、お気づきでしょうか。今作のクレジットでわたしの役割が「撮影、文、イラスト」となっているのを・・・。帰国後の打ち合わせで『なんか旅本って色鉛筆の素朴なイラストとかポイから欲しいっすよね』ということになり、気軽に引き受けてはみたものの、あとでアバーーという事態に。
才能には限界がある
知ってる?上手い人のイラストを崩すと味になるけど、下手な人が味を出そうと思って描くとただヨボヨボしているだけだってこと。
当初はなんとかなるかと思ったのですがどうにもならず、描いているうちにゲシュタルト崩壊してきたので、とりあえず量産して投げつけた中からデザイナーさんに選んでもらったイラストを結集したのがこの台湾マップなのでありました・・・。
まず色鉛筆を買うところから
すべては物から入るタイプなのでまず道具を揃えなければなりません。色鉛筆ってさあ、油彩と水彩があんのよね。やっぱ文房具はジャーマンだよなーなんつってファーバーカステルやステッドラーを物色したのですが、どうやら重ねたときの発色の良さやコスパを鑑みると「トンボ鉛筆」がベストに思われたのでした。
大人なので奮発して36色を買いました。色鉛筆のレビューとか見ると面白いですね、マニアック。この色が廃盤になったとか、肌色トークとか、伸びや重ねの発色の違いとか、やはり狭く深い世界ってのは端から見ると興味深いものですよ。
それから紙。いろいろ調べたけど「素人が紙にこだわってんじゃねえ」と我に返り、結局近所の文房具屋さんで小さなスケッチブックを購入。そうそう、わたしNIKEでフルセット揃えて結局走らないタイプだったわ。
前途多難な一枚目
まずはテスト走行としてパパっと一枚目を描いて編集中島さんに送ってみる。「ヤバくないですか?」「いいじゃないですか!」褒められて伸びるタイプではありますが画力は今更伸びないので、終始中島さんには励ましという名の慰めを受けながら”ひとりあすなろ荘”がスタートしたのが5月の末の事でありました。
台湾の形ってどうすればいいの
さて、まずはベースとなる台湾のおおまかな形から。「・・・あれ?スケッチブックにトレースってどうすればいいの?」「小学生みたいに窓に押し付けて日光でトレースするのか?」考えたあげく、こんな手法となりました。
1)台湾の画像をパソコンで保存
2)上をイラストレーターでなぞる
3)その画像の上に(物理的に)トレーシングペーパーを置いて慎重にマジックでなぞる
↑急にアナログ化
4)画用紙の上にトレーシングペーパーを置いて強めに鉛筆で跡をつける
5)画用紙の凹んだところを色鉛筆でなぞる
何回なぞんねん!最初はイラストレーターの最新バージョンで作業しているのですが、後半になるほど昭和の子供みたいな手法に(笑)何度も台湾の形を描いたので、なぞりすぎてトレーシングペーパーもうボロボロです。地域分けの色は薄すぎて上手く印刷できなかったのですが、デザイナーさんや印刷所さんがいい塩梅に調整してくださいました。
パソコンで描いちゃダメですかー!
そもそも、色鉛筆で描く絵ってどんな感じになるんだろう?というところから手探り。その後も、わたしの画力だとどんな画風になるんだ??とテスト走行を重ねてみるのですが「園児かよ」というレベルから脱しきれないのであります。
なんだこれ
オロオロしているうちに締切迫る。よし、じゃあちょっと上達見込のない色鉛筆を離れて、多少経験のあるパソコンのイラストにしてみてはどうだろう。
なんてラクなんだ!
色はすぐに変えられる、変な部分はすぐに変更できる、大きく描いてもすぐに小さくしてバランス確認できる。何よりあとでどうにでもなるので描くスピードが圧倒的に早い。ああ!やっぱりこっちの方が本業です中島さん!どうでしょう、ダメですか!
「ダメです」 ドーン
下手なイラスト数撃って当てる
振り出しに戻り、色鉛筆イラストでリスタート。慰められながら自己肯定感を可能なだけ最大に高めてイラスト量産作業をはじめました。20個ぐらい描いたらなんか1個ぐらい当たるんじゃないかな!多分!という気持ちで。
段々粗目のテクスチャを覚える
この辺難関ポイント
何度も大橋歩の生霊が降りてこないかと思った。
あまり大きく描くと色鉛筆感が消えてしまうので、サイズは実印刷よりちょっと大きいぐらい。ためらわずに一気にサクッと描く方がそれらしくなるみたい。コツをすこーしづつ得ながら台湾各地のモチーフを描きました。
それでも、池上弁当はなにせ全部茶色なので変化つけるのがむずいし、日月潭に至ってはもう行かなかったことに出来ないかなと思ったね。変な茶色のカップはあれです、台中のアイスクリーム盛りです。気持ちで描く絵のシュールさよ。
アイコンも描いてやろうじゃない
「そうだ、台湾いこう」にはわたしが旅のときに使っているアプリが幾つかでています。わりとメジャーどころばかり選びました。アプリはマニアックだと長期間アップデートかからなかったりするから、やっぱり有名どころが安心だったりするし。
で、これらのアプリのアイコン画像をまんま掲載させていただくには一応許諾を・・・と思ったのですが、まあそれは大企業ほど難しい話でして。「描けますか?」「描こうじゃないか」ということで、アプリのアイコン画像もまた、わたしの手作りとなっております。
トレース問題その2 勃発
これは色鉛筆のテクスチャがそこまで必要ないので、結構大きく描いたものを小さくして掲載しています。コンビニ行って、大きくコピーして、失敗してまた10円入れて、もっと大きくして、を繰り返したのをまたトレーシングペーパーに映して上からなぞる、昭和の子供手法で。
黒ペン入ってると簡単
アプリアイコンって何気なくグラデーション入ってたりするなあ・・・。夜中に蛍光灯の下でひとりガリガリ塗りつぶしていたときの光景が昨日のことのようだ。ま、でも画力が必要ないって点では楽チンでした。そしてコピー機の拡大機能に詳しくなりました。
あ、そうそう、1日のスケジュール欄の「今日やったこと。」の文字もわたしの直筆です。デザイナーさんにお願いして入れていただきました。
そんなこんなのイラストでした
もしかしたら一生気づかれないかもしれないところに熱量を注ぐ、というのはわたしの個人的な美学としてとても大事な部分なのですが、でもホントに気づかれなかったらちょっと寂しいので一応ココに記しました(笑)
クレジットにお気づきでなかった方、是非もう一度「そうだ、台湾いこう」のページをめくってみてください。そして「ああ・・・確かに微妙だな」と思ってください。いいんです、それでもう、報われますから。
つづく。
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