祇園祭の手ぬぐいについて勝手に考える会
祇園祭の物販見学を楽しみにしている移住組のものです、こんにちは。
昨年は孟宗山でヴィトンもどきの面白手ぬぐいを1枚、記念に購入しただけにとどまっていた手ぬぐいパトロールですが、今年は張り切って6枚も購入してしまいました。しかしながら、毎日手ぬぐいを使っている愛好者としてなーんか気になるところがちょいちょいあったので、私的観点で勝手にまとめたいと思います。
注染か捺染か、それが問題だ
手ぬぐいっておおまかに染め方が2パターンあるのよね。
片面から染めるプリントの『捺染(なっせん)』(比較的細かい絵柄の再現も可能で多色)と、表裏通して染める『注染(ちゅうせん)』。手捺染とかいろいろなバリエーションは割愛して、ここでは片面プリントor両面色の通ってる染めという意味で使います。
ひとつ確実に言えることは「手ぬぐい好きな人は注染を好む」ってことだね。プリントだと裏面が白いんですよ。あと、生地が固くなることが多い。うちにある某OT手ぬぐいも全部プリントですが、何年使っても使いづらいです固くて。バンドグッズ手ぬぐいはプリントだらけで「チッ」っていつも思ってるよ。
ロキノンにありそうな黒主山の手ぬぐい
裏からみても同じだぜ(=注染)、さすが黒主山
前祭の宵山では、同じく手ぬぐいの好きなお友達とひたすら手ぬぐいパトロールをしていたのですが、染めかプリントかを見極めるのがまあ大変。シンプルな図柄のものはだいたい注染なのだけど、たまにそうでもないトラップがあるので、いちいち裏返すか、サンプルを手に取れないところではこっそり裏側にまわって確かめていたよ(笑)
油天神山の色使いかわいい(注染)
来年買いたい山伏山のマティス風手ぬぐい(注染)
綾傘鉾の堅実なバリエーション(不明)
芦刈山もフォントを活かしたデザイン悪くない(不明)
わたしも仕事や趣味で手ぬぐいのデザインとか発注やったことあるんですけど、やっぱりプリントの方がコストが低く済んで多色使いが可能になるので、パッと見た感じ目を引く物が出来るんだよねえ。でも手ぬぐいらしい質感やにじみは注染に限る。
今年は月鉾がピンク色の派手めでかわいい手ぬぐいを売ってたので一番最初にスキップしながら買いに行ったけど、裏返したら真っ白だったので「つきほこのバカバカバカ」って泣きながら財布しまったよね。函谷鉾もデザイナーや大学生とコラボったのではないかと推測される超細かい図柄売ってたけど風に吹かれて裏返ったらやっぱりプリントだった。惜しい。
鯉山はモチーフがもう勝ち組(注染)
鳩がかわいすぎる八幡山(注染)
染めかプリントか明記 or 手に取れるところにサンプルを置いてほしいな
お値段がピンキリ過ぎる件
ほぼ全部の売店見たけどお値段結構いろいろありますね、手ぬぐいといえども。だいたい500円〜2000円ぐらいの価格幅あり。ほとんどの山鉾が定番柄を持っていて多分売り切るまでそのまま行くやつが多い。その年限りのデザインは少数派だし、そもそも相当なロット数を制作していると思うので、もうちょっと安くてもいいんじゃないかなーと思うところもあった。「え〜こんなシンプルな一色刷りで1000円超えってウソやん」みたいな。買わないだけだが。
長刀鉾の今年限定手ぬぐい、ギフト箱入り2000円(これはアリだな)
一方で、一番安かったのは長刀鉾や南観音山や船鉾などで出してたワンコイン500円の手ぬぐい、お手軽なわりに良いものを提供していて素晴らしい。そう、手ぬぐいって1色や2色刷りでもデザイン次第で素敵なものはいくらでも出来るのが面白いところなのだ。ワンコインはお土産にもピッタリだし助かる。これプラス、プリントで凝ったものも売って、買う方が選択できるっていうバリエーションを持ってるのが二重丸。
南観音山、ワンコイン注染と1000円多色プリントのチョイス式
長刀鉾でぞんざいに吊ってあったワンコイン手ぬぐい3種
放下鉾はパッケージが金箔入りの和紙でとても素敵よ
お値段は800円までにしてもらえないかしら(ワンコインバージョンも推奨)
縦型手ぬぐいはなんか普段使いづらい
縦型の構図で絵柄が描かれていて、額装したら素敵だろうなっていう掛け軸のような手ぬぐいもよくある。これはあくまでも個人的なわたしの好みだけど、もったいなくなっちゃってあんまり手が伸びないんだなあ。特に余白が多い芸術的なやつ。ちゃんと全体で見てあげたほうがいい手ぬぐいだなあと思って柄の詰まったの買っちゃうのよね。
これは迷った、浄妙山の素敵な縦型
大船鉾もかわいい、しかも横型もご用意(めくれてる)
伯牙山のノスタルジックな図柄も素敵だったな
わたしが普段連続柄のパターン手ぬぐいばっかり使っているからだと思うけど、あーんバリエーション選べたらいいのになーって思うことがあるのでメモっておきました。まあお好みですよね。
船鉾は選択肢が広くてモチベ高い(注染)
額装向きだけじゃなくて普段づかいなバージョンもあったらいいな
もっとがんばれると思う
宵山の売店って手ぬぐい物凄く売れるんだってさ。そりゃそうだよね、実際スタッフさんらも使うものだし、お値段も手頃でお土産にもちょうどいいし、記念にもなるし、どこの山鉾でも売ってるんだもん。しかしだね、シンプルなのも素敵だけど、もっといろいろ出来るんじゃないかと思うのもあるんだよなあ。初期ロット100万枚ぐらい作っちゃってそれだけを売らざるをえないのか。
役行者山はもっと山伏感出してイケるはず
橋弁慶もこうもっとポップにいきたいところ
巡行順の後祭記念手ぬぐいもやりようがある気がする(プリント)
もっとがんばれるはず
わたしの買った祇園祭山鉾手ぬぐい2018
今年は前祭で3枚、後祭で3枚の合計6枚を購入しました。わたしはお弁当撮影の下敷きに手ぬぐいを使うせいもあって、全体的に色や柄が行き渡っているものが好み。色はブルー系を選ぶことが多いな。
前祭(鶏鉾、長刀鉾、放下鉾)
ついつい買っちゃうのは大きくて華やかな鉾の手ぬぐい。売店が大きいので地獄の人混みの中でも買いやすいからというのもある。あと、鉾に上がれる拝観券が付いているところもところどころにあります。
買い主の趣味が出ますね
長刀鉾はワンコインで買える安価さとシンプルなデザインのバランスがグー。フクロウの放下鉾は生地に厚みもあって包装も凝っていて今年一番満足度が高かった。鶏鉾はまるでキッチンクロスみたいでキュートなのにちょっとした事件があった。
御稚児さんデザインの長刀鉾、しかも500円
フクロウがかわゆい放下鉾
鶏がフレンチで素敵な鶏鉾
鶏鉾はデザインはとても独特で素敵なのにまさかの捺染。というのも、販売係のお姉さんに「裏にもプリントありますか」と聞いて「あります」と言われ、更にディスプレイされているものが注染だったので安心して買ったのだけどいざ買って開いたら違った、という非常にいけない事案だった。昔作った注染のをサンプルで飾って、新しく作った捺染手ぬぐいを売っちゃってるのは普通にいけない。手ぬぐいトラップ。
開いてエッ?てなったわ
たしか拝観券付きだったからお値段もちょっとお高めだった。わたし、たまご好きだから鶏鉾も好きなのに(それはこっちの話だが)なんだかガッカリしたパターンでした。ま、売ってる方はこんな手ぬぐい沼住民のこだわりはあまり気にしないよな。
後祭(鈴鹿山、鷹山、南観音山)
前祭での教訓を生かして「鬼の注染チェッカー」になり全部裏側を確かめて買ったので、すべて裏まで染まっている注染手ぬぐい。あと、後祭はどこの会所も浴衣の女の子が販促のわらべ唄を歌いながら販売のお手伝いをしているので、お買い物でホッコリするのがいいところ。全部可愛らしい女子から買いました。
パッケージもいろいろ
定番デザインの鈴鹿山は人にあげたくなる京都マップみたいなのが可愛いんだけど雷除けと安産守りっていうところで一瞬躊躇するところも含めて良い。休み山の鷹山はサッカーグッズのようですがとってもブルーが綺麗。南観音山は種類が多いけどこれが一番好きだった、しかも500円。
京都土産感が洒落ている鈴鹿山
潔くイマドキな鷹山
色とレイアウトのバランスがよい南観音山
まとめ
とにもかくにも、注染 or DIE。手ぬぐい好きは気に入ったら何本も買う優良顧客なので、あっさりプリントで作っちゃうと機会損失になることもあるんじゃないかなーという手ぬぐいおばさんのささやかな気持ちをお空に飛ばして関係各位に届くことを願っているよ。
とにかく今年は山鉾より手ぬぐい見てたんじゃないかってぐらいでしたが、結果的にそれぞれの会所で気に入ったデザインのものが買えてとっても満足。気になる他のものはまた来年。さっそく一度洗ってから拙宅の台所で毎日ふきんとして活躍しております。手ぬぐいって意外と長く持つものなので、柔らかくなるまでガンガン使うつもりです。
(追伸)雑誌「月刊京都」さんには是非来年も『山鉾の手ぬぐい全部見せます特集』やってほしい。あれは全部掲載されているわけじゃないけど、ざっくりとした事前ガイドとして物凄く役に立ちました。
これにて今年度の「祇園祭手ぬぐいについて勝手に考える会」を終了します。
ご清聴ありがとうございました。
- 前の記事
- 祇園祭(後祭)の曳き初めと宵山さんぽ
- 次の記事
- 旬の食材が楽しい保存食直売所「保存食lab」