「Farmoon」のサンデーブランチ『La Manana Mexicana / メキシコの朝』
料理人・船越雅代さんのアトリエ「Farmoon」で開催されたサンデーブランチに行ってきました。2018年、私が京都に引っ越してきた後にオープンしたFarmoon、雑誌や松本隆先生のインスタで見かけては素敵な円卓と静かな空気感に一度訪れてみたいと思っていたのです。紹介制のプライベートレストランと噂に聞いていたので庶民には縁のない敷居の高いお店かと思っていたら、毎月テーマを変えてサンデーブランチの会が行われているとのこと。今月は大好物のメキシカン、運良く予約が取れて行ってきました。
銀閣寺近く、哲学の道の脇をちょっと入ったところにあるお店はもともと古い家屋だそう。お庭を望むカウンター席、とキッチン、高い窓から日差しがFarmoonを象徴する円卓に差し込んでいて素敵〜。このちょうどいい広さと使いこなされた道具が詰まってる感じ、憧れ〜。
オアハカで買われたという切り絵細工パピエピカドのカラフルな色がシックなお店にとても合います。わたしはカウンターでお手元をじっくり眺められるかぶりつき席に。メニューはすずきのセビーチェから始まって、とうもろこしや小麦粉のトルティーヤ、じっくり焼いたかぼちゃと茄子など。辛いワカモレやカカオニブを使ったモーレなどのソースを一緒にいろんな組み合わせでいただきました。飲み物のオーダーはもちろんマルガリータ。
お料理はやっぱり大原の野菜が多く登場していて、思ったより余計なことをしない(けど多分すごく下ごしらえに手間がかかってる)素朴でプリミティブなお食事が多かった印象。料理家さんらしい、というか私の知ってるメキシカンの軽薄な美味しさとは違った(笑)
お料理はもちろんなんですが何よりアトリエで気になるのはお皿や道具など。使い込まれた琺瑯の洗面器みたいなボウルとか、ザルとか、小物類に至るまであらゆるお道具に目が行っちゃうよね〜。作家モノの大胆な絵柄や古美術の絵付けなどバラエティーに富んだお皿がミックスされてるのも楽しい。ものっすごい見ちゃうわ。
最後はお米のソルベにパイナップルとチリ、お茶にミントとシャインマスカットを漬けたグラスでさっぱりとフィニッシュ。シンプルながら再現性の高いお料理ではないけど、メキシカンの王道「ライムとパクチーとチリ」を揃えてちょっとお刺身や野菜を違う風に食べてみるくらいなら私にも出来るから今度コストコでライムを買う口実が出来たな、と思った次第。
お隣に座った何度かいらしているご近所のマダム曰く、夜のディナーも大変素晴らしいとのこと。カウンター席の役得で船越さんともお話できたのですけど、平日昼は茶楼として、夜も普通にメールでディナー予約が可能だとおっしゃっていたので、すっかり紹介制におびえていたハードルも下がりました。次はちょっと気軽にお茶でも来たいなー。このキッチンスタジオ自体がとても気持ちの良い建物とつくりになっているので、なんかスッキリした気持ちになりました。気がよさそう。
あとで調べたら彼女(多分ほぼ同い年と推測)のご経歴はとてもワイルドで、彫刻を専攻にNYへ渡ったところで料理に目覚めて料理学校を卒業し、NYで働いたあとは渡仏、客船のシェフ、バリ島のホテルシェフ、そして京都、とトラベラー色の濃い人生を送ってこられたそう。すごいねえ。
わたしの場合、どちらかというと料理家さんのお料理で気になるところって、味やレシピよりもどういうバックグラウンドとか個性が反映されているのかなってところ(あと台所道具)。Farmoonの個性は、なんか世界のいろんなエッセンスが散りばめられていて、そのベースに京都のいろんな素材があって、旅をしているような感覚がありました。
普段ロクにこだわりもしない人でも、こうやってこだわりのお食事をいただくとなんもしてないのにレベル上がった感じするのなんですかね(笑)晩ごはんにライムでもちょっと絞って、1ミリぐらいのメキシコ感を取り入れてひとまず満足するとしましょう。素敵なアトリエだったな。ごちそうさまでした。
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