ゴミを出さない量り売りスーパー「斗々屋(ととや)」
目新しいものがいっぱいで重い腰を上げるのに一年近くかかってしまいました、京都に昨年7月に出来た量り売りスーパーマーケットの話です。京都御所の東側に『ゼロ・ウェイスト』をかかげる量り売りスーパーができました。
「サステイナブル」とか「SDGs」とかいまひとつよく飲み込めていない上に「オーガニック」や「フェアトレード」にも普段なかなかお金を費やせない俗物のわたしですが、「ゼロ・ウェイスト」つまりゴミを出さないということについてなら、シンプルに生活に沿って実感することが多いのでよくわかります。循環サイクルとかなんとかって意識の高い話ではなくて、もう単純に「家庭のプラごみが多すぎる!」という点で。ひとり暮らしから家族暮らしになってプラごみの溜まるスピードと量の変化がえげつなくて、日々この無駄を実感するばかり。
以前外国人記者が日本人のことを「Plastic Addict」と表現していたんだけど、日本はプラ容器のバリエーションが凄まじいですよね。あと、レジのおねえさん結構何でもかんでも袋に入れること多いじゃない。あれをいちいち断るのもストレスだし、断らなくてもストレスだし、もういっそ全部無くしてくれよと思うよ。あとレシートも8割方必要じゃないし。どうしたもんかね。
「斗々屋」の商品はすべて個包装ナシの量り売り。必要な分だけを持参した容器に詰めて購入(またはレンタル容器をデポジットで利用)します。プラス、関西を中心とした生産者さんの安心安全のオーガニック・無添加食材がずらっと700点。コンパクトな規模のスーパーだけど結構生活全般の必要品をまかなえるラインナップのスーパーマーケットです。ちょっと意識高そう、って思うとハードルが高いけど、この量り売りの最先端システムが単純にすんごい楽しいので(笑)実際はあまり難しく考えずワクワクお買い物ができるスポットだと思います。
食材や調味料などいろいろ少量から
ナッツやお菓子ぐらいのならよく見かけるけれど、斗々屋はぜーんぶ量り売り。まず入り口に新鮮な有機のお野菜が並んでいて、その奥には壁一面にザーッとナッツや穀物などの入ったディスペンサー。これだけ大量に整然と並ぶと美しくって眺めるだけで楽しい気持ち。
それからガラス瓶には粉類や乾物、ハーブやスパイス、乾麺やおかきなども。粉だったら、全粒粉、米粉、蕎麦粉、セモリナ粉、だんご粉などなど、ちょっとだけなら手を出してみたいものいっぱい。自家製ふりかけやナムルのもとなんかはすぐに使えていいかもしれない。あとパウダースパイスなんかは瓶容器揃えたらそのまま持って来たらいいんだもんねえ!S&BとiHerbとGABANが混ざってごちゃつくこともないじゃない!
さらに奥の方に行くと、ごま油やオリーブオイル、醤油、日本酒などの液体調味料、石鹸洗剤や粉末漂白剤、オーガニック化粧品、ナチュールワインなど。富士酢が量り売りで買えるのとかすごい良いわ・・・調味料関係のペットボトルの消費量って地味に多いもんなあ。しかもどれもちょっと使ってみたいなと思えるような国産のこだわり調味料でそこがまたいいのです。
最新の計量システムってすごい
「Amazon Go」みたいな無人店舗が登場する21世紀ですから、まあ量り売りって言ったって最近のはスゴイですわ。斗々屋では基本的に「自分で量ってシールを容器に貼ってお会計」のシステムなんですが、すごくスムーズでびっくり。
店内にはいくつも量りがありまして、そのそばには既に重さを差し引いて登録された大小のカップが置かれています。このカップを持って例えば「ナムルのもと」の瓶を開けて欲しい分だけザザーっと入れ、量りに乗せます。
すると「ナムルのもとですよね?」と商品名が出て来てこれは何グラム、幾らですよ、と教えてくれます。OKだったらプリントボタンを押してお値段シールをプリントし、持参した容器に貼り付けてハイ完了。
斗々屋のすべての商品容器にはモーションセンサーがついていて、商品を取り出すとその情報を量りに送信する仕組みになってるんですね。イオンのセルフレジとかだとレモン1個とかバーコードのないやつはポチポチ商品選択しなくちゃいけなくてめんどくさいじゃないですか、ああいう手間が一切ないのがものすごく便利。近くで他のお客さんも出し入れしてて二、三個蓋が空いてて「ナムルのもと」「アーモンド」「米粉」みたいに複数の商品候補が表示されることもあるけど選択するだけなんで全然手間じゃないです。
ちなみに物によっては何グラム以上で、って指定のある食品もあるので(いうても少量です)注意することと、あとは最初にちょっと入れて量ってみるのが大事かな。見た目と重さってよくわからないものもあるからお試しで。値札をプリントアウトしなかったらいいだけなので。ナッツなんかはこんぐらいで何グラムだよ、って瓶に入れてサンプルを飾ってくれてたりもするので参考になります。
楽しくて便利じゃないと続かないからね。システムでいろんな負担を軽減できるってのは理想的だなと思う。わかんないことがあったらすぐにお姉さんたちが教えてくれるので初見でも全然大丈夫。
容器は持参かデポジット
入れ物は持参するんだけど適当なビニール袋とか使い捨てのジップロック袋みたいのはNGだった気が。ちゃんとここも「使い続けられる」のが大事です。手ぬぐいや竹の皮に包んで帰る人もいるみたいよ。わたしはジップロックコンテナとか、普段家で使ってる保存容器とかジャムの空き瓶を各種持っていきました。
結構推奨されてるのが「Stasher(スタッシャー)」。店内でもカラフルなのが各種売ってます。iHerbでお安く買ってみたもののイマイチ冷蔵庫内の容器としては使いこなせていなかった我が家のスタッシャー、ここで日の目を見ましたw マチのないやつとか使い道ないな〜と思ってたけど、斗々屋で乾物持って買えるのにベストだった!いままで持て余しててごめんな!
容器はいろいろ売ってたりもするし、リターナブルなものもあります。デポジットにお金を払ったら次に来た時返して返金してもらえるっていうやつ。搾りたてのアーモンドミルクは瓶入りなので最初から要デポジット、手作り納豆なんかもあるんだけど丸ごと買ったら容器のカンカン代が要デポジットです。
こういうスーパーってここが一番ネックかなと思っていて、いつも保存容器持っているわけじゃないからちょっと通りすがりに「あ、寄ってこ」っていうのがしづらいんですよね。うちの隣にあるとかだったら取りに帰れるんだけどそうも行かないからねえ・・・ご近所の人いいなあっていつも思う。個人的には次回いつ来れるかもわからないのでデポジットは避けたいから、容器持って「さあ買いに行くぞ」って出陣する感じです。
ごはんも食べられるしお酒も飲める
一番奥のカウンターではお食事ができるようになっているよ。お惣菜コーナーのものをいくつかお願いしていただく感じ。売り物の食材がロスにならないように鮮度が落ちる前に惣菜にしたり保存食にしたりしているとのこと。だからファラフェルの中身がナッツの搾りかすだったりね。でも地味な見た目のわりにすごい美味しかったんだわ〜!お弁当箱持って来て鴨川で食べる人もいるらしい。それは素敵です。御所も近いし何気にピクニックユースできる。
食品ロス防止で作るから決まったメニューがなくって、余ったクズも出汁に使ったり最後はコンポストにしたりしてまた土に還るんだそうです。うちもこれぐらい食品ロスに意識が高ければいいのですが・・・いや無理ですが・・・。
こんなスーパーが増えたらいいのに
量り売りって欧米では結構一般的な買い物の仕方ですよね?わたしが最初に量り売りに触れたのは多分大学生時代のロンドンだと思うんだけど、やり方が全然わからなくて「ば、バナナを二、三本買いたいだけなのだが・・・」と、途方に暮れたものでした。レジで量ってもらうこともあれば、売り場のスケールに乗せて値札ラベルを自分で貼ることも。そもそも「lb(ポンド)」「oz(オンス)」がどれだけの量か全くわかってないので(グラムだっていまだにおぼつかないのに)値段がいくらになるのかも検討がつかなくて困ったものだったなあ。
でも斗々屋みたいなシステムだったらビギナーでもストレスフリーにお買い物ができるし、あと驚いたのがこういうこだわりの食材にもかかわらずお値段が意外と安いんですよ!梱包の費用ってそんなにするの?って思うほど。ゴミがでないだけじゃなくって、量り売りって好きなものを少しだけ買えるという点でもロスが出にくいもんね。いいことしかない。
こないだはグラノーラ焼くのにちょっと違うの入れてみようと思って、同じ容器にヘーゼルナッツとかピーカンナッツをミックスして入れて少量買ってみたの。結果、なんか違うなってなったんだけど(笑)これが袋ごと買ってたとしたら微妙なナッツの残りどうすべ、ってなってロスしてた可能性あるからね。そういうことなんだよね。
ということで、まるでPR依頼を受けたかのような長文記事でしたが、まだまだ日本では珍しい量り売りスーパー、なんか京都観光ついでに見にくる人も多いらしいです。お時間のある方はハンカチにおかき包むなり、コットンバッグ買っていろいろ入れるなり、お買い物してみてはいかがでしょう。もっともっとこんなスーパーが増えていったらいいなあ。
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